ミラレーパの生涯 第24回 ◆第7章瞑想(4)◆ 解放およびすべてを知っていることへの 道を示した最高に力のあるヨーギー、 偉大なるミラレーパの物語
一年が経った。 気分転換に外に出たくなった。そして出る準備をしたが、最初の誓いを思い出し、この歌を歌って自分に言い聞かせた。 おお、ヴァジラダラの顕現、究極の真理の保持者、マルパよ、 この托鉢僧が、隠遁し、リトリート修行を完成できるよう、祝福してください。 誇り高きミラレーパよ、この歌が、お前に思い出させる助けとなるように。 お前は、仲間たちと彼らの楽しい会話から離れている。 お前が見たいと思う、谷の風景は空しい。 外的なものは、何もお前の心を引き上げない。 散漫な思いにふけらずに、心を平静にせよ。 そうでないと、不健全な考えに屈するだろう。 放逸になるな、放逸になるな、作意せよ。 作意を怠れば、お前の集中は風にさらわれる。 去るな、去るな。ここにとどまれ。 もし去れば、お前の歩は石につまずくだろう。 快楽を求めずに、自己をコントロールせよ。 快楽を求めることは、何の役にも立たない。 眠るな、眠るな、瞑想せよ。 眠ると、五つの毒に圧倒される。 このように自らを叱責し、昼夜の区別なく瞑想した。修行の質は向上し、こうしてまた三年が過ぎた。 毎年一袋の食糧を消費した。もし身体を支えるものが何もなかったなら、それはわたしの生の終わりであっただろう。この世の人は、十分の一オンスの黄金を見つけるとそれに喜び、それを失うと失望する。しかし、そんなことは、解脱を得ずに死ぬこととは比較にならない。解脱へと導く生は、黄金で満ちた十億の世界よりも貴重だからだ。わたしは考えた。 「どうするべきか。誓いを破るより、死ぬ方がましだ。わたしは村には下りない。誓いは破らない。しかし、修行を続けるために、生命を保持するのに十分なだけの食糧は、見つけなくてはならない」 「白い岩」の洞窟の前に出た。日は暖かく、水は澄み、多くのイラクサが生えていた。そこからは遠くまで見渡せた。心地良く感じながら、わたしは、しばらくとどまっていた。 わたしは、イラクサで生命を保ちながら、瞑想を続けた。身を覆う服もなく、他の食糧もなかったので、灰色の毛で覆われた身体は骸骨のようになり、皮膚はイラクサの色になった。これが起こったとき、ラマのくれた巻物を取って、それを頭に載せた。その瞬間、何も食べていないにもかかわらず、胃は満腹感を感じ、口には食物の味がした。封印を破って中を見たくなったが、ある兆候が出たので思いとどまり、そのままにしておいた。 また約一年が過ぎた。獲物に恵まれなかった何人かのハンターが、キードンの市場から、突然わたしの洞窟にやってきた。わたしを見るや否や、 「幽霊だ」 と叫んで、走り去った。わたしは、 「人間です。隠遁者です」 と、彼らに叫んだ。 「信じ難いことだが、確かめてみよう」 彼らは言った。 戻ってくると、彼らは洞窟の中に押し入り、わたしに命じた。 「食糧はどこだ。くれたら、後で十分お返ししてやる。くれなければ、殺すぞ」 このような言葉で脅した。 わたしは言った。 「イラクサ以外には何もない。わたしを持ち上げて、見てみるがよい。わたしは奪われることを恐れない」 「お前には、奪うものもなさそうだ」 ある一人が言った。 「この隠遁者を持ち上げたら、どうなるだろう」 もう一人が言った。 「祝福があるかもしれないぜ」 彼らはそれぞれわたしを持ち上げて、落とした。 わたしの身体は、難行で鍛えられていたが苦痛に満ち、またわたしは、彼ちに対して耐え難い大きな哀れみを感じて、泣いた。 傍らに立って、わたしを傷つけなかった一人のハンターが、他の者に言った。 「待て。この男は、本当の求道者のようだ。たとえそうでなくとも、こんな骨と皮の者を痛めるのは人道的ではない。我々のひもじさは、彼のせいではない。 そんなことをするのは、やめろ」 そしてわたしに言った。 「あなたは素晴らしいヨーギーです。わたしはあなたを傷つけませんでしたので、あなたの瞑想でわたしを加護してください」 他の者も言った。 「我々もあなたを持ち上げたので、加護してください」 その一人が、 「しかし、きっと変わった加護があるぜ」 と言って笑い出し、そして去っていった。 わたしは魔術を使おうとは思わなかったが、結局彼らは、わたしの守護神たちによって報復を受けた。地方の長が彼らを罰し、リーダーは殺され、「この隠遁者を害するな」と言った者以外は皆、目をえぐられた。 その一年後、すべての衣服が擦り切れ、畑の代価としておばがくれた毛皮のコートもぼろぼろになったとき、空袋とぼろ切れを縫い合わせて、座具を作ろうと思った。しかし自分に言った。 「万一今晩死ぬとするなら、この無益な縫い物をするよりも、瞑想する方が賢明だ」 そして、縫い物をしようという考えを捨て、ぼろぼろのコートを座具の上に広げ、その端を引き上げて下半身を覆った。上半身は、袋の断片で必要なところを覆った。しかしそれが落ちたとき、わたしは、少し禁欲のしすぎだ、やはり縫い合わせよう、と考えた。しかし、針も糸もなかった。わたしは、身体の上・中・下部を覆うために、袋の三つの部分を結び、それを袋の紐で縛った。昼はそれを着、夜は毛皮の断片を、それが保つ限り、座具の上に敷いた。このようにして、また一年を瞑想に費やした。 |